注文住宅を建てる際に、いくらかの現金は必ず必要になります。
よく、フルローンで家を建てた!家を建てることが出来る!など言われていますが、多少の現金は必ず必要です。
では実際にいくらぐらい必要なのか?そして自己資金がない場合はどうすればいいのか?について詳しく解説していきます。
- 注文住宅を建てる時に必要な現金の金額
- 自己資金がない場合の方法
- 現金を支払うタイミング
この内容を解説します
ぜひ最後までご覧下さい。
現金で必ず支払わなければならないものって何?
注文住宅を建てる際に必ず現金で支払わなければならないものがあります。
現金で支払わなければいけないものは以下の通りです。
契約時の手付金
土地の契約をする際に、必ず手付金を支払わなければなりません。
- 「証約手付」・・・契約したという証
- 「解約手付」・・・お互い手付金を放棄(売主が解約する場合は手付倍返し)することにより契約解除することが出来る権利
- 「違約手付」・・・債務不履行(契約により発生した義務をしないこと)により、損害が発生した場合に手付金から損害金を支払う
この3つの意味合いを持つ
土地契約と建築請負契約(建築業者とする契約)をする時は手付金が必要となります。
手付金は現金で支払うことが原則です。しかし、頭金としての意味も含まれているため購入代金の一部に充当される
注文住宅の場合に気を付けないといけないのが、この手付金です。
通常手付金は、買主から解約をする場合「手付金放棄」となり支払った手付金は戻ってきません。
逆に、売主側が解約(他にもっと良い条件の買主が現れた場合にする事があります)する場合は「手付金倍返し」となるため、手付金額の2倍を買主に返還しなければなりません。
建築条件付きの場合はどうなる?
注文住宅に対して、建築条件付き土地もあります。
建築条件付き土地とは、決まった建築業者で一定期間内に家を建てるという条件がついた土地のこと
一定期間内(2~3ヶ月)に建築しない場合解約となります。
建築条件付き土地の場合も契約時に手付金を支払う必要があります。
しかし注文住宅との違いは、解約する場合に手付金が返還されることです。
しかし、契約書の内容にもよります。後々トラブルにならないように契約書に解約した時どうなるかの部分は必ず確認が必要です。
本来条件が達成されないことによる契約解除は、返還義務が発生するため手付金は返還しなければなりません。
引っ越しの費用
引っ越し費用に関しては、住宅ローン実行後の話になります。
- 荷物の量で価格が異なる
- エアコンの取付などのオプションで価格が高くなる
引越しの費用は住宅ローンとしての利用は出来ません。
家具、家電購入費用
新しい家に住むと同時に、家具・家電を買い替える方も多いです。
新しく購入する家具家電は、基本的に現金で支払うことになります。(クレジットカード含む)
家具・家電は金額的にも大きいです。
そのためある程度の現金を手元に置いていく必要があります。
手付金を多く払いすぎると現金がなくなり欲しい家具・家電が購入出来ない可能性もある
手付金ついては後半で詳しく解説します。先読みしたい人はこちらから
※近年では家具家電を住宅ローンに含めることができる銀行もあるため銀行に相談して下さい。
近隣への手土産・大工さんへの差入れ
建築中は現場に行って、家を建てている様子を見に行く事が多くなります
その時に大工さんなどへ差入れを持って行くこともあります。
基本的には人数分のお茶やコーヒーなどの飲み物を持っていくことをお勧めします
大工さんへの差し入れについてはこちらの記事でも解説しています。
また、引っ越し後に近隣住民の方に挨拶回りをしなければなりません。
その時の粗品については、焼き菓子(日持ちするお菓子)や日用品(タオル、洗剤等)などがお勧めです。
こういった大工さんへの差入れや近隣への手土産関係も住宅ローンに含むことは出来ません。
もしかしたら現金が必要になるもの
基本的には住宅ローンに含むことが出来るものですが、銀行によってNGなものがあるため絶対に確認して下さい。
- 印紙代(各契約書作成時に必要)
- 登記費用(表示登記、保存登記をする際の費用)
- 土地購入の仲介手数料(400万以上の購入金額の場合、購入金額の3%+6万+消費税)
- 建築確認申請費用(建物を建築する前に必要な許可申請費用)
- 火災保険料
- 住宅ローン借り入れ費用(事務手数料、保証料、抵当権設定費用)
- 照明
- カーテン
- エアコン費用
- 外構費用
※住宅ローンに含むことが出来る内容は銀行によって異なります。必ず確認するようにして下さい。
不動産取得税
不動産取得税は「不動産を取得した際にかかる税金」です。
取得した土地、建物両方に税金がかかってきます。
- 固定資産評価額×4%となるが2024(令和6)年3月31日までに取得した場合3%で計算される
- ただし軽減措置がとられているため大きな費用は掛からない
不動産取得税は固定資産税と違い、毎年かかるものではなく一度の支払いで済みます。
固定資産税
固定資産税は、毎年1/1の不動産所有者に対して課されます。
- 土地・建物共に固定資産評価額×1.4%
しかし、固定資産税も軽減措置が取られています。
- 土地:200㎡以内は評価額を6分の1
- 土地:200㎡~2,000㎡以内は3分の1
- 建物:新築住宅(120㎡まで)に関しては3年間、評価額を1/2(120㎡を超える場合は軽減措置はなし)
- 建物:長期優良住宅の場合は3年間が5年間に延長される
具体例:令和6年3月31日までに取得した固定資産の場合
- A 45,000円
- B (土地1m2あたりの固定資産税評価額×2分の1)×(課税床面積(200m2が限度)×2)×3%
どちらか高い方が控除されます。
- 建物の固定資産税評価額 – 1,200万円)× 3%
固定資産評価額から1,200万円が控除され計算されます。
必要な現金の内訳(実際に必要な金額は?)
それでは実際にどの程度の現金が必要なのかを確認していきます。
土地契約時及び建築請負契約時の手付金
手付金の金額は一般的に金額の5~10%が相場と言われています。
- 1,000万円の土地を購入→50万~100万の手付金
- 2,000万の建物費用→100万~200万の手付金
一般的にはこの手付金が掛かりる
手付金がこんなに大きな金額になると…家づくりはできないな…と感じる人が多いと思います。
手付金に関しては、交渉で大きく変わることが一般的なので、仮に10万でも問題ないか交渉をしましょう。
また、手付金について支払いがちょっと…となった場合に検討して欲しいことは以下の通りです。
- 手付金の交渉
- 両親からの援助
- つなぎ融資
- 分割融資
両親からの援助が出来るのであれば、一番コレが費用的にもいいですが、厳しい場合は他の方法もあります。
注文住宅を検討する際によく使われるのがつなぎ融資と分割融資です。
つなぎ融資も分割融資も、住宅ローンが実行されるまでの間に必要となる費用を一時的に融資するものです。
ただ、内容は次のような違いがあります。
どちらが良いということはなく、状況や銀行によって変わります。
つなぎ融資や分割融資を使うことで、解決することも多いので検討してみて下さい。
地鎮祭の費用
地鎮祭は施主がするかしないか決めることができます。
つまり、やらなくても問題はないということです。(やっている人が多い傾向にあります)
もし行なう場合は8万円前後必要となります。
地鎮祭についてはこちらで詳しく解説していますので参考にして下さい。
引っ越し費用
引越しの費用は、荷物の量や距離によって異なります。
同市町村程度であれば、一般家庭の引っ越しの場合10万円程度です。
引越しの費用は、転勤の時期が多い月などは比較的高めになる
引渡しの時期によって費用が変わる可能性があるため注意が必要です。
家具・家電費用
家具・家電の費用の目安を紹介していきます。
家具・家電 | 目安の費用 | 備考(内容) |
---|---|---|
ダイニングテーブル・チェア | 80,000円~ | 4人掛け |
ローテーブル | 20,000円~ | |
ソファー | 80,000円~ | 4人掛け |
テレビ | 150,000円~ | 50インチ(壁掛けとして) |
エアコン | 150,000円~ | リビング・寝室など |
掃除機 | 50,000円~ | ハンディスティックタイプ |
冷蔵庫 | 150,000円~ | |
炊飯器 | 20,000円~ | |
電子レンジ | 20,000円~ | オーブン・グリル機能がついたもの |
洗濯機 | 100,000円~ | 洗濯容量8キロ |
合計 | 820,000円~ | ※一般的な合計金額 |
全て新品にするかどうかで色々変わってきますが、一般的に50万~100万円が多いです。
こだわりがある家庭は200万を超す家庭もありますので、事前に検討しておきましょう。
大工さんへの差入れ費用
大工さんへの差し入れの費用はまちまちです。
せっかくだから…といって毎回お菓子や飲み物、持ち帰るぐらいの多くの量を差入れをする人もいますが
個人的には飲み物だけで問題ありません。
大工さんだけでなく、工事に関わる全ての人に行き届くように人数分を準備するとOKです。
現場には月に2回、4人に差し入れをした場合
150円(ジュース代)×4人=600円/1回程度掛かると考えておけばOK!
仮に3か月いったと考えると、600円×2回(月)×3(ヶ月)=3,600円となります。
人数でも前後するため、5,000円~10,000円程度想定しておけば問題ありません。
大工さんへの差し入れについてはこちらで詳しく解説していますので参考にして下さい。
近隣への手土産・
近隣(1家庭)への粗品の金額としては、500~1000円以内が一般的です。
- 右左の隣 2軒
- 前面の3軒・後ろ面の3軒
- その他工事車両で迷惑が掛けてしまった家
- 自治会長の1軒
6軒の家に挨拶したと仮定した場合は3,000円~6,000円程度掛かります。
不動産取得税
不動産取得税は、固定資産評価額×4%になりますが、2024(令和6)年3月31日までに取得した場合3%で計算されます。
しかし、軽減措置が取られるために一般的にはほとんど掛かりません。
0円~多くても2万円程度で納まることが一般的
ただし、固定資産評価額によって変動します。
固定資産税
こちらも軽減措置適応後の金額としては、10万~15万円程度になります。
固定資産税の軽減措置の期間は3年間(長期優良住宅は5年)のため3年後は必ず上がる
3年後は、1万~2万円上がる可能性があります。
必要な現金のまとめ
必要な現金を分かりやすく表にしてみましたので、参考にして下さい。
内訳 | 費用 |
---|---|
土地契約時及び建築請負契約時の手付金 | ~3,000,000円 |
地鎮祭の費用 | ~80,000円 |
引っ越し費用 | ~100,000円 |
家具、家電購入費用 | ~1,000,000円 |
大工さんへの差入れ | ~10,000円 |
近隣への手土産(引越し時) | ~6,000円 |
不動産取得税 | ~20,000円 |
固定資産税 | ~150,000円 |
合計 | ~4,366,000円 |
見れば分かりますが、必要な現金は手付金次第で大きく変わります。
また家具・家電をどこまで新しくするかで大きく変わってきます。
現金を支払うスケジュール・タイミングは?
現金を支払うタイミングについて説明していきます。
気になる場所へタップして移動できます
土地契約時に支払う頭金(手付金)
支払うタイミングは土地契約をする時です(契約書を交わす時)。
- 500万円の土地の場合・・・25万~50万円
- 1,000万円の土地の場合・・・50万~100万円
通常は土地価格の5%~10%で設定されます。
支払い金額については売主との交渉になります。
自己資金を少しでも残したい場合は低い金額で交渉しましょう。
建築請負契約時に支払う頭金(手付金)
建物のプランが確定し金額も確定した後に結ぶ建築請負契約の時に手付金が必要です。
- 1,000万円の建物の場合・・・50~100万円
- 2,000万円の土地の場合・・・100~200万円
通常は建築費用の5~10%で設定されます
手付金の金額については建築業者(工務店・ハウスメーカー)との交渉となります。
地鎮祭を行なう場合
地鎮祭を行う場合は、地鎮祭の行う時に現金が必要になります。
- 初穂料:2万~5万
- お供え物:1万~
- 近隣への挨拶の粗品:1.5万~2万
地鎮祭とは、土地の神様に工事が安全に進むよう祈願する儀式のことです。
地鎮祭に関してはする・しないを選択出来ます
不動産取得税
不動産を取得してから3ヶ月~6ヶ月後に送られてきます。
行政によって送られて来るタイミングは変わりますが、半年以内に送られてくることが多い
納付書が送られてきてから、期限内に支払うようにしましょう。
固定資産税
固定資産税は毎年1/1の所有者に対して課されます。
納付書がくるタイミングは4月上旬です。
一回で支払うか、4回に分けて支払うか選ぶことが可能。
4回で支払う場合、4月末日・7月末日・9月末日・12月末日
まとめ:注文住宅を建てる時に現金っていくら必要?
本記事では実際に注文住宅を建てる際に、必要な現金について解説しました。
自己資金0円でも家を建てることが出来る!とよく言われますが、実際には0円では不可能です。
土地の売主・建設会社(工務店・ハウスメーカー)によって大きく変わります。
また、銀行によっても、これは住宅ローンに含むことが出来るし、これは住宅ローンに含むことが出来ないなどあるため
全てにおいて確認が必要です。
- 土地契約~引き渡しまでに必要な現金は200万~300万円
- 必要な現金を抑えるなら手付金を相談する
- 諸経費の内どこまで住宅ローンに含めることができるか銀行に確認
- 現金が用意できない場合は、親の援助・つなぎ融資・分割融資を検討
- 引き渡し後も税金の支払いがあるため、現金を用意しておくこと
自己資金が無い場合は、とにかく手付金を交渉することで解決出来ます。
また、手付金を抜いたとしてもある程度の金額が掛かりますので自己資金の計画に役立てて下さい。
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