「リビング学習は子どもの学力向上に良い」と近年言われており、
実際にスタディスペースのある間取りは年々人気が高まっています。
家族とコミュニケーションが取れる空間で勉強すると子供が勉強を好きになりやすく、省スペースで設置できる。
しかし、中には、結局使われず「物置」になるのでは?本当に勉強に集中できるの?
という疑問をお持ちの方も多いと思います。
そこで本記事では、スタディスペースで後悔しないためのポイントを
設計事務所で勤務している建築士の観点から解説します。
- スタディスペースで押さえるべきポイントは?
- スタディスペースの広さはどのくらい?
- スタディスペースで押さえておきたい注意点は?
- 人気のスタディスペースのおすすめの間取りは?
こういった内容を解説していきます。
家づくりで後悔しないために、必ず抑えていただきたい内容を厳選しています。
納得の間取りを完成させるために、ぜひご確認ください。
スタディスペースで押さえるべきポイントは?
実はプランニングの難しいスタディスペース。
ここで紹介するポイントは必ず押さえて、後悔のない計画を立ててください。
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家族が必ず通る位置に配置する
スタディスペースを作る一番のメリットは、子どもが家族の目の届く範囲で勉強できること。
家族の動線から外れた位置に設けてしまうと、ゆくゆくは使わないデッドスペースになってしまいます。
家族が必ず通る位置に配置して、日常の中で自然に使えるスタディスペースを作りましょう。
高さを抑えて開放感を出す
子ども部屋にこもらず勉強できるスタディスペースですから、個室には無い「開放感」がとても大切です。
そのためには壁などの高さを抑えて周りの部屋と一体化させ、空間として広く使える工夫が必要です。
机周りの腰壁の高さは床から1メートル前後がおすすめ。
間仕切壁がわりの腰壁が座った目線より下の高さで終わるので、視界が広がり開放感が得られます。
子どもが大きくなった後の活用を想定する
子どもが大学生になっても実家暮らしだとしても、家で生活する期間は20年ほど。
家族共有のスタディスペースを使う期間となると、10年以内で終わってしまう可能性もあります。
かといって大切な成長期にベストな学習環境が作れるという特性を考えると、スタディースペースの設置を諦めるのは勿体ない話です。
子どもが成長した後のことも想定し、大人も使えるスタディスペースを新築の段階で計画しておきましょう。
始めから、親子で一緒に机に向かう想定でスタディスペースを作るのもおすすめです。
例えばPCや資格勉強、読書に趣味にと、大人でも使いたくなるシーンは沢山考えられます。
最近では、テレワークなど時代に合った使い方もできます。
スタディスペースの広さはどのくらい?
スタディスペースには、個室ほどの広さは必要ありません。
ここでは広さや寸法関係の目安をご紹介します。
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基本は「2人並んで使える広さ」
スタディスペースの広さは、2人が並んで使える広さを基本とします。
スペースを使う子どもが1人だったとしても、大人が隣に座れるゆとりは残しておきましょう。
勉強を教えたり丸つけをしたり、小さいときは一緒にお絵描きなど、親の出番も結構あります。
家事の合間に子供の様子を見れるというのもスタディスペースのメリットです。
2人並んで机に向かえる環境を作っておくと兄弟姉妹・親子で「勉強モード」になり、
モチベーションアップにつながります。
2人で使う机の幅・奥行・高さは?
- 幅 200㎝
- 奥行 60㎝
- 高さ 70㎝
これが標準となります。
このサイズであれば教科書やノートを広げても窮屈にならず、大人と同じくらいの身長になっても無理なく使えます。
奥行に関しては、PCを使わず最小限に抑えたい場合は45cmでもOKです。
ただし椅子の高さは机に合わせて、成長と共に変えていきましょう。
大人なら40〜45㎝、身長120㎝の子どもなら50センチは必要。
ただし、お子さんは床から50cmあると床面に足がつきませんので、
足置きのある子ども用チェアが良いでしょう。
高さ調整機能のついたチェアも、永く使えておすすめです。
座面の高さを計算するには、以下の式を参考にしてください。
【座面の高さ】= 【机の高さ(70cm)】ー 【身長 × 1/6】
書斎と兼用する場合の広さ
子どもが使うスタディスペースを、大人の書斎と兼用する間取りも近年人気があります。
ちょっとした仕事や趣味の時間を、家族の空間で過ごすイメージです。
スタディスペースと書斎を兼用する場合の広さは、4畳程度がおすすめです。
4畳あれば、壁一面を本棚にするくらいの空間のゆとりが生まれます。
スタディスペースで押さえておきたい注意点は?
スタディスペースに必要な注意点を挙げておきます。
「使いにくい」「散らかる」などのデメリットが生じないよう、必ず確認してください。
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背後に視線を感じる配置は避ける
勉強中に家族の気配を感じられるのは大変好ましいですが
背後に常に視線が注がれる状況ではなかなか集中できません。
リビングのソファに座った状態など、家族の視線が集まりやすい場所をあらかじめ想定してスタディスペースを配置しましょう。
収納計画を立てる
スタディスペースと収納計画はセットで考える必要があります。
スペース内や近くに勉強道具をしまう収納がないと、気付かぬうちに机の上が「物置化」してしまいます。
「使い終わった勉強道具は自分の部屋にしまう」ルールにするのも良いですが、簡単で散らかりにくいのは勉強用の収納を設けてしまうことです。
窓を付ける場合は自然光の入る明るい位置に
スタディースペースに窓を付けると、外の空気が感じられてリフレッシュにもなります。
窓を付ける場合は、勉強中も明るい自然光が視界に感じられる位置に窓が来るようにしましょう。
勉強に適した照明を計画する
スタディスペースで特に気を付けたいのは、照明の位置と色です。
暗い部屋で勉強すると視力に悪いのはもちろん、集中力も下がってしまいます。
照明の位置に関しては、手元を照らせるようにデスクの上に照明を配置しましょう。
照明の色は、リビングなどに好まれる「電球色」は避けるのがベターです。
電球色のオレンジ系の光はリラックス効果がある一方で、文字を読んだり集中を高めたりするのには向いていません。
電球色以外の照明の色は、オフィスにも使われる青白い「昼光色」と自然な白さの「昼白色」があります。
スタディスペースにおすすめの照明の色は、「昼白色」。
冷たい印象にならない自然な色で、読み書きのしやすい明るさが確保できる。
全体の照明プランを電球色で統一したいなどは、机にスタンドライトを置くことでも対応できます。
コンセントの数や位置を考えておく
スタディスペースには想像以上にコンセントの数が必要だと気付いた、という方がとても多いです。
- スタンドライト
- パソコンやプリンター
- タブレットやスマホの充電
- オーディオ
- ミニ扇風機や加湿器 など
今すぐには使わなくても、子どもの成長につれて必要になるものもあるはずです。
タコ足配線にならないコンセントの数に加え、机の上・床近くなど高さを含めた位置も考えておきましょう。
人気のスタディスペースのおすすめの間取りは?
スタディスペースのある間取りとして、人気の例を具体的にご紹介します。
家族のライフスタイルや子どもの年齢・性格に応じて、それぞれ参考にしてください。
リビング
リビングのスタディスペースは、家族が近くにいる安心感が最も得られる間取りです。
特に小学生までは親のサポートが必要な宿題も多く、わからないことはすぐに聞ける環境は学習効率も高まります。
デメリットとしてはリビングが勉強道具で散らかりやすくなること。
家族全員に加え来客も使う空間なので、スタディスペース専用の収納スペースを確保しましょう。
キッチン
調理中にも子どもの勉強を見ることができる、キッチンに隣接したスタディスペースの間取りも人気です。
リビングからは見えにくい位置に配置すれば、スペース内が散らかっても気にならないのもメリットです。
スキップフロア
階段の途中の「1.5階」のようなリビングから少しだけ高い位置にスタディスペースを設ける間取りです。
手摺や壁で囲まれた隠れ家のような空間になり、多少散らかっても気にならず勉強にも集中できます。
子どもが小さいときは秘密基地のように使え、
大きくなって独立心の芽生えた中高生以降も半個室のように使えるので
おすすめです。
吹抜け
リビングの吹き抜け上部の2階にスタディスペースを設けると、家族の気配は感じながらも程よい距離感が生まれます。
子供の集中力が高められ、すぐに親を頼らず自分で考える力も育てやすくなります。
自力で宿題をできるようになる、小学校中学年以降の子どもにおすすめの間取りです。
吹き抜け上部の高い位置に窓を設ければ、明るい光も降り注ぐ心地よい空間になります。
和室
リビングに小上がりの和室を設け、壁に造り付けのカウンター机を設ける間取りです。
椅子は置かず、畳に直接座って掘りごたつのようになった部分に足を投げ出して使うスタイルが人気です。
椅子のように使う人数が制限されないため、家族で自由に使うことができます。
子どもが小さいうちにも便利な和室をスタディスペースとして使えるため、子どもが複数いる家庭にもおすすめです。
階段下
家全体として空間に余裕がない場合、階段下の空間を有効活用したスタディースペースがおすすめです。
この場合は段と段の間が見えるオープン階段とせず、段下を壁で閉じた階段にしてください。
階段下が半個室のような空間になり、集中力アップにも効果的です。
まとめ:スタディスペースで後悔しないために抑えるべきポイントや注意点
最近とても人気の「スタディスペース」のある間取りについて解説しました。
ポイントをしっかり押さえて、自分達に合った永く愛用できる間取りを計画してください。
他にも流行りの間取りはこちらで解説しています。
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